どの会社にも、名刺1枚あたりの印刷単価を小数点以下2桁まで言える人がいます。名刺にいくらかかっているかを言える人は、ほとんどいません。
これは別々の質問です。
請求書は小さいほうの数字
名刺の印刷は、実際に安いです。だから話はたいていそこで終わります。一人あたり数百枚を注文し、届き、引き出しに入り、その費目は閉じられます。
効いてくるコストは、その取引ではありません。それを何回繰り返すか、そして何がその繰り返しの引き金になるかです。
刷り直しの引き金
この3年間を振り返って、いくつ当てはまるか数えてみてください。
誰かが昇進した。誰かが異動した。オフィスが移転した。電話システムが変わり、内線番号も変わった。ロゴを刷新した、あるいは全員のメールのドメインが変わった。部署名が変わった。人事が等級を整理して、肩書きに新しい語尾がついた。
このどれもが、該当する人の未使用の名刺を、同じ日に、全部無効にします。先月注文したものでも、去年のものでも同じです。
これが本当のコスト要因です。そして多くのチームがこれを見積もっていません。一回ごとの刷り直しは小さく、避けられないものに感じられるからです。
誰も金額をつけていない部分
高くつくのはここで、これはどの請求書にも現れません。
すでに配った名刺は変わりません。あなたが連絡を待っている相手の財布、名刺入れ、机の引き出しの中にあります。そこには、もう持っていない肩書き、もういないオフィス、いまは別の人の机で鳴る直通番号が印刷されています。
回収はできません。紙にバージョン管理はありません。八か月後、まさにこちらが望んでいたタイミングで誰かが名刺を掘り出し、つながらない番号にかけます。
これは印刷費ではありません。失われた会話です。そして何件失ったかを数える方法はありません。だからこそ、誰も数えないのです。
正直な比較
1枚あたりでタップ式のほうが安い、というつもりはありません。安くないからです。そう書いてある記事は、あなたに話しかけているのではなく、売りつけています。
本当に成り立つ比較はこうです。紙の名刺は単価が低く、何かが変わるたびにコストが再発します。タップ式の名刺は単価が高く、コストは再発しません。刷り直すのではなく、プロフィールを編集するからです。
どちらが安いかは、その組織がどれだけ変化するかで決まります。十年同じ場所にいる二人の事務所なら紙が勝ちますし、そのまま刷り続けてください。四半期ごとに誰かの肩書きが変わる成長中のチームなら、計算はひっくり返ります。しかも、かなり早い段階で。
自社の数字の出し方
1枚あたりの単価は使わないでください。代わりにこうします。
この3年間の引き金になった出来事を数える。それぞれで影響を受けた人数を掛ける。それが、計画した枚数ではなく、実際に買った刷り直しの回数です。そこに、いま引き出しにある、すでに間違っている箱を足してください。あれにもお金を払っています。
たいていの人はこの答えに驚きます。そして驚きの方向が、思っていたより紙が安かった、になることはありません。
ではどうするか
必ずしも印刷をやめることではありません。多くのチームは紙を残すべきです。理由はタップしないほうがいい場面に書きました。
やる価値のある変更は、乗り換えよりもっと小さいことです。古くなる前提で、一人あたりの枚数を減らして刷る。引き出しがいっぱいであることを、預金のように考えるのをやめる。あれは静かに期限切れになっていく在庫に近いものです。そして、いちばん変わりやすい情報は、自分で編集できる場所に置く。