これまで見せてもらったブース報告は、ほぼ例外なく集めた名刺の枚数から始まります。
一番作りやすい数字であり、その報告書が本来答えるべき問い、つまり来年も出る価値があったのか、に唯一答えられない数字でもあります。
名刺の枚数はブースが混めば増えます。学生や競合や、トートバッグ目当ての人で混んでいても増えます。要するに、握手の回数を測っています。
説明に耐える3つの数字
分析基盤は要りません。数える対象が3つあれば足ります。どれも手で記録できます。
有効商談数。 来場者数ではありません。相手に本当に関係がある理由があり、購入者になり得ると確認できた会話の数です。その場で誰かが印をつけます。帰りの電車で思い出して再構成することはできません。
7日以内に連絡した数。 その有効商談のうち、1週間以内に本当のフォローアップを送れた数です。一斉配信のメールマガジンは数えません。実際に話した内容に触れている連絡だけです。
獲得アポイント数。 経理が聞いてくるのはこれだけです。遅れて出てくる数字なので、前の2つが必要になります。前の2つは、まだ会期中に手を打てる数字だからです。
3つの数、共有のシート1枚、その場で記録。仕組みはそれだけで、あとから名刺の山を見て組み立てたどの報告書よりも当たります。
すべてを決める20秒
多くのイベント計画が外すのはここです。
ブースの詰まりどころは会話ではありません。会話は得意だからその人を出しているはずです。詰まるのは直後の20秒、次の来場者がもう目の前に立っている状態で、今の人が誰でなぜ重要だったかを記録する時間です。
これを実行できる人はほぼいません。名刺はポケットに入り、メモはあとで、という約束になります。2日目の終わりには90枚の名刺とゼロ枚のメモが残り、その場でやった見極めは蒸発しています。
つまりブースの設計課題はリード獲得ではありません。疲れた人が、時間に追われながらメモを残せるか、です。
直し方は2つです。記録を複数手順ではなく1動作にすること。そして、メモは3語でよいことにしてしまうこと。「価格を検討」「来期購入」「部署違い」。名前のついた3語は、何も書かれていないスキャン済み名刺よりはるかに価値があります。
名刺交換はどこに入るか
ブースで名刺を渡したとき、あなたは同じ問題を逆向きに作っています。相手はあとで入力しなければならず、しかも相手も一日中名刺を集めています。
NFC カードなら、その場に立っているうちにこの流れを閉じられます。かざすとプロフィールが開き、保存され、保存されたことも分かります。誰も入力せず、相手のスマートフォンに入る文字列は正確です。
思われている以上に重要な点が2つあります。
会場の Wi-Fi は常に不安定なので、その上で速く開くこと。6秒かかればその瞬間は終わり、あとで開き直してはもらえません。
そして、相手側にアプリが不要であること。「どうやって開くんですか」の答えが「まずアプリを入れてください」になった時点で負けです。iPhone は XR と XS 以降であればアプリなしでタグを読みますし、Android は何年も前から読めます。展示会でこれが成立するのは、その事実があるからです。
それでも紙の名刺は受け取る
とくに日本では、名刺を受け取らない、あるいは差し出さないことは明確な失礼にあたります。効率の議論はそこに勝てません。
受け取ってください。両方やればいいだけです。紙はその場の礼儀を、デジタルは、2日目の夕方にお互い正確な入力などできないという現実を担当します。
変える価値があるのは、紙の山の使い道だけです。誰に会ったかの記録にはしないこと。礼儀を尽くした証拠として置いておき、実際の記録は、メモがついている場所に持たせます。
翌週にやること
イベントの価値のほとんどは、終わってからの7日間で決まります。そして多くのチームは、その7日間を疲労の回復に使います。
行く前に時間を押さえてください。フォローするつもり、ではなく、月曜と火曜のカレンダーに実際のブロックを入れて、イベント本体と同じように死守します。ブースより安く済み、会話を案件に変えるのはこの工程だけです。
そのうえで3つの数を出し、出展費用の隣に並べます。それがブース報告です。名刺の枚数は、ただの領収書です。